CivⅣ 7人マルチ(5) ~Merchant Of Death~
CivⅣ、7人プレイレポートです。
前回分から読んでください。
以下リンク
第四回 ~亡きモンゴルに捧げるセクステット~
第三回 ~帝国の逆襲~
第二回 ~眠れる獅子と興国の一戦~
第一回 ~国名「エリア11」~
三日目。
タイトルの”Merchant Of Death”とは「死の商人」という意味。
日本の兵器外交とも言える各国への戦闘部隊の提供は周知の事実となっていた。
なおシュメールのプレイヤーが急遽参加できないということで以降、シュメールはAIとなる。
これにより東方諸国は分裂。自然とアラブVS世界という構図が成立しつつあった。
シュメールが都合によりAI化してゲームが再開される。
これにより長期化すると思われた冷戦関係は、あっけなく終わりを告げることになる。
単独でこの乱世を生き抜かねばならなくなった東側諸国は軍備を競うように拡張し、一触即発の事態となっていた。
これよりバビロン、ポルトガル、アラビア、シュメールの四国の局地戦争へとその容貌を変えていくことになる。
さてさて、そんな物騒な東部とは対極的な位置に存在する日本はというと……。
見ての通りの全国を挙げてのルネサンス時代を迎えていた。
最早戦争など過去の遺物。
通常なら戦後、増えすぎた軍が経済を圧迫し深刻なインフレなどを引き起こすのだが、今回はその軍を外交カードとして切ってあるのでそれらの打撃は存在しないのである。
軍部 「全ての攻撃軍を譲渡するなど正気の沙汰ではない!」
諜報 「まだモンゴル政権の感情を引きずってる都市を半分抱えている中、無駄な金食い虫をおく必要はない」
軍部 「な、何だと!?」
外交 「まぁまぁ、おかげでポルトガルとは強固な同盟を結ぶことができました。かの国は向こう百年は攻めてこないでしょう」
文部 「『兵を養うのは戦争のためではなく百年の平和を手にするため』という言葉があるくらいだからな。まさに本望だろう」
軍部 「ふざけるな! もしどこかの国に攻められたらどう対処するんだ!?」
外交 「今のところ我が国に対して戦争を行おうという国は存在しません」
諜報 「だ、そうだ。まぁ、どのみちモンゴル戦で我が国は軍事力・経済力共に破綻している。攻められれば条件付降伏を模索するしかあるまい」
文部 「それに侍は既に時代遅れ。世界の主力はライフル兵です。賞味期限の切れた軍を上手く処分できたことを喜ぶべきでしょう」
諜報 「まさに一石二鳥だな」
軍部 「お前ら軍をなんだと思ってるんだ……」
外交 「使い捨ての外交の道具でしょ」
というわけで、身軽になった経済は全てテクノロジーの発展につぎ込み、各都市では文化・商業・研究施設が急ピッチで建造されるようになる。
文明開化。
実際の史実で江戸時代が終わりを告げるのと同様に、日本もまた古き体制からの脱皮を行っていた。
その間軍事活動の全てを放棄し、諜報機関は限られた資金を遣り繰りしてアラビアに陰湿な嫌がらせを行っていた(主に各資源施設の破壊工作)。
アラビアは国力でこそ第三位であったが、その文明レベルはトップレベルであった。
研究は華々しく進み、軍も次々と最新鋭の組織へと変化していっていた。
ポルトガルとバビロンが裏でこそこそと対アラビア戦の準備を進めていることはわかっていた。それもアラビア軍が近代化する前に叩こうとしていることも。
それほどまでにアラビアの成長は著しかった。
増加の一途を辿る軍事力。
この静かな軍拡競争はシュメールのアラビア強襲を境に一気に表面化することになる。
シュメールがアラビアに宣戦布告しました。
さすがAI。
空気読めてない。
もしここでアラビアがシュメールに屈して滅亡することになれば、東国情勢は一気に変わる。対AI戦争となればバビロン・ポルトガル連合軍の勝利は約束されたも同じである。
バビロン・ポルトガル両国はこの醜い戦争をさぞかしにやにやしながら眺めていたであろう。
戦争がある程度始まってからバビロン側から通達が来る
バビロン 「アラビアが弱体化したところを見計らってポルトガル軍と共にアラビアを攻めます」
日本 「なるほど。我が国は力になれそうにありませんが頑張ってください」
バビロン 「笑。長引くと思うので、何かしらの支援期待してます」
今の笑いは見下した笑いだろうか?
そんな卑屈なことを考えたりもしたが、バビロンは今や世界第一の国家。ブービーの国力である日本の援助など端からあてにしてはいないのだろう。
つまり、またバビロンはこう言ってきたのである。
外交 「『アラビアと戦争するが変な気は起こすなよ?』とね」
軍部 「舐められてる。我が国を完全に見下した外交だ」
文部 「まぁ落ち着いてください。これは礼儀的なものです。同盟国に自国が戦争することを告げることは常識ですよ」
諜報 「それは表向きの理由だな」
外交 「外交は二面性が基本です。文部の言うのは表だっての意味で、裏の意味は私が言ったとおりでしょう」
軍部 「だが、本当に援軍をあてにしていたらどうなる?」
外交 「その場合は厄介なことになります。やっと先進国なみの技術を入手したのに、それを停滞させなければならない事態となります」
文部 「今我が国に軍備へ回す余裕はありませんよ?」
軍部 「だそうだ。我が軍は保有する兵力の全てが都市防衛のための部隊で構成されている。しかも大半は長弓兵で、一部に至っては弓兵だ。とても援軍としてあてにされる兵力ではない。諜報的にはどうなんだ? 抜け目無い貴公のことだ。アラビアにスパイを送り込んであるんだろ?」
諜報 「……ま、予算が限られすぎてて大したことはできてないけどね」
軍部 「予算があるだけまだマシだろう。ウチなんかここ30ターン予算を振られてないんだぞ」
諜報 「はぐらかしても仕方ないからはっきり言うけど、アラビア軍は我々が想定しているより遥かにタフだぞ」
文部 「強力なのか?」
外交 「バビロンから要請されて諜報機関を通じてアラビア・シュメール戦争を監視していたのですが、アラビア軍は殆ど兵力を失うことなくシュメール軍を退けました」
軍部 「なんと」
諜報 「おまけにアラビアは内燃機関の研究に着手するほどの技術レベルに来ている。カノン砲の製造も本格化していて、あの国は文字通りの軍事大国となっている」
外交 「正規のルートでポルトガル軍を視察した限りでは、ポルトガル軍の主力は胸甲騎兵や鎚鉾兵。最新鋭の軍として擲弾兵が少数確認できました。もちろん我が国が贈呈した元日本軍の兵士たちも従軍しております」
軍部 「無論だ。アラビアごときに敗れる侍ではないわ」
諜報 「身内びいきはその辺にしておけ。残念ながら外交・諜報の両機関の出した答えは同じだ」
外交 「ポルトガルの敗北」
軍部 「ポルトガルが敗北し、我が国と隣接する事態になれば大変なことになるぞ」
外交 「その通り。我が国は平和路線を突き進んできた。それもあらゆる武力を放棄して。今ここでポルトガルが消え、破壊工作を行ってきた軍事大国アラビアが隣接するのは極めてまずいのです」
文部 「どうするつもり? 大砲製造は優先的にとるよう進めて来たけど、最大の支援となる機関銃兵の製造はまだ先ですよ?」
外交 「幸い、バビロンもアラビアと肩を並べる軍事大国に成長してくれています。おそらくアラビアに対して互角かそれ以上の戦いを見せてくれるでしょう。また、早期決戦となればポルトガルにも勝算があります」
諜報 「実際、我が国に出来ることは少ない。アラビアも簡単に滅んでもらっては困るし、また勝ち続けられても困る。我が国はこの次に起こる戦争は、できるだけ長引かせられるように試みることにしようじゃないか」
また、懸案事項として、アステカが日本と隣接する都市に駐留するマスケット兵を増強させているというものがあった。
とはいえ、守備兵力なので、おそらくまだ日本の領土野心を疑っているのだろう。日本に他国を侵略する力などないというのに。
シュメール軍敗北からわずか2ターン。
ポルトガルがアラビアに宣戦布告しました。
バビロンがアラビアに宣戦布告しました。
バビロン・ポルトガルはアラビアに対して宣戦布告を行う。
戦争遂行能力を保有する四国が戦争状態に突入したことになるので、一応、第二次世界大戦と言っても過言ではないだろう。ちなみに日本、アステカには戦争遂行能力はなかった。
電撃的に都市を一つ落としたバビロンとは対象的に、ポルトガル軍は慎重な侵攻を行っていた。
アラビア軍は技術的に劣るポルトガル軍を無視。
即座にシュメールと停戦し、ほぼ全軍をバビロンに差し向けたのである。
上記SSが各国軍の動き。
アラビア軍の兵力はバビロン軍の想定を超えるものだった。
過去、様々な地域で多くの戦争があったが、このバビロン軍とアラビア軍が激突した戦場は世界史上最大の激戦区となったようだ。
アラビアは奪われた一都市を奪還すべく大量のライフル兵にカノン砲からなる攻撃軍を派遣。対するバビロン軍は騎兵隊で応戦したものと思われる。
一進一退の壮絶な激戦を繰り返した後に、外交チャンネルが開かれる。
バビロン 「ライフル兵が多数来て、激戦となった。抵抗が激しすぎる。なんでもいいから支援求む」
日本 「カノン砲を提供しましょう」
バビロン 「カノン砲最高w」
どうやら次の都市へと侵攻するどころか、奪った一都市を守るのだけでいっぱいいっぱいのようだ。一方、相手にされてないということを知らないポルトガル軍は、捨て駒的に置かれた旧式軍隊が守る都市の攻略に手間取っていた。
日本はモンゴル戦争でポルトガル軍の実力を疑った経験があったが、これを見ていてそれが核心へと変わった。
ポルトガル軍は戦争下手すぎるのだ。
統率のとれてないカタパルト軍団。個別に攻撃を繰り返し、次のターンで相手が回復してからまた別のカタパルト軍団が攻撃を開始する。
これが一国の軍隊の行動だろうか。
まるで足並みの揃わない連合軍の波状攻撃を見ているようである。
切り捨てられたアラビアの都市は時間を稼ぐという目的を十二分に達成し、アラビア軍は防衛体制を固めることに成功していた。
とはいえ、馬鹿みたいにいる大量の兵士たちはアラビアの次の都市を落とすくらいは余裕でやってのけそうだった。
ここでアラビアが滅ぶと世界が一気に平和になり、バビロンの勝利が確定してしまう。
それでは面白くないので、アラビアにはもうちょっと頑張ってもらおうと思う。
というわけで、勝利を喜んでいるポルトガルとの外交チャンネルを開く。
日本 「こんばんは。戦争拝見させてもらいました。都市攻略おめでとうございます」
ポルトガル 「ありがとうございます」
日本 「しかし、プラガ攻略に手間取りましたね」
ポルトガル 「兵力を温存して戦ったのが裏目に出てしまいました。まぁ、おかげでまだまだ戦えますよ」
日本 「しかし、アラビア軍は守備を固めており、貴国の軍ではおそらく勝てないでしょう」
ポルトガル 「……そんなにやばいですかね?」
日本 「ライフル兵やカノン砲が大量に配備されてます(大嘘)」
ポルトガル 「う、うーん。でも、こちらも擲弾兵がいるのでなんとかなるかと」
日本 「少数の擲弾兵では勝てませんよ? それより、攻撃軍が敗北して逆襲されればまずいのでは?」
ポルトガル 「……」
日本 「バビロン軍は苦戦を強いられており、撤退は時間の問題です。もし、撤退後、停戦されれば、アラビア軍の反撃の矛先は貴国に向けられますよ?(バビロンが苦戦してるのはポルトガルに兵が裂かれてないからだけどね)」
ポルトガル 「それはまずいな」
日本 「でしょ? ですから、バビロンより先に和睦すべきです」
ポルトガル 「分かりました。検討してみましょう」
程なくして、ポルトガルはアラビアとの停戦に入った。
ポルトガルにはああ言ったが、アラビア軍はバビロン軍との戦争でいっぱいいっぱいであり、ポルトガルが戦争を継続していれば勝算は十分あったと言える。
例え旧式だとしても、ポルトガル軍には経験豊富な軍隊が大量に揃っており、片っ端から突撃を敢行する度胸さえあれば勝てたのだ。
だが、それをさせないようにするのが外交である。
こうも素直に信じてくれると面白いものだ。
背後が安泰となったアラビア軍はバビロン軍を第二次攻撃で撃破。
都市奪還に成功し、自国領から他国を排除。
更に逆襲が始まり、アラビア軍はバビロン領内へと侵攻を開始した。
第三国日本は謀略をめぐらせていた。
この戦争でバビロン、アラビアが消耗すれば自国が上位ランキングへと浮上できると思われる。
実際アラビアは日本よりも国力が低下していた。
ここはアラビアに頑張ってもらい、バビロンが消耗されれば自分の手を汚さずに状況を有利なものへと変えられる。
日本はここで始めてアラビアに接触を試みたのだった。
日本 「どもー。大変なことになってますね」
アラビア 「……まぁな」
日本 「貴国の気持ちはお察ししますよ」
アラビア 「それはどうも。ところで、貴国は随分と侍を輸出しているようですね」
日本 「ええ。旧式の軍隊を処分するついでに安全を保障してもらってます」
アラビア 「上手いやり方だw」
日本 「立地条件上、貴国には戦力支援できませんが情報くらいは流せます」
アラビア 「ほう」
日本 「バビロンは戦力を首都近郊まで後退させ、反撃の糸口を探ってます」
アラビア 「罠ですかね?」
日本 「でしょうね。ここは一度停戦して、軍備を立て直して出直すというのはいかがですか?」
アラビア 「考えておこう」
日本はバビロンにすでにいくつかのカノン砲を献上している。
ここでアラビアが調子に乗ると敗北する可能性がある。すでに戦いは泥沼化しており見ていて面白いが、ここは一度停戦させるのが利口だろう。
諜報 「何故傍観を決め込まない? 下手に首をつっこむと火傷するぞ?」
外交 「ちょっとした考えがあるんですよ。ね?」
軍部 「間に合うかはわからないけどな」
文部 「全く、宇宙船製造が間に合わないとはいえこんなことになるなんて……」
諜報 「何だ何だ。今回は私だけのけ者か? 一体何を企んでいるんだ?」
軍部 「我が国は核兵器に手を出す」
諜報 「……冗談だろ? 歩兵とか通常兵力の近代化が終わってないんだぞ」
外交 「我が国は通常兵器は捨て、核に望みを託します。最早、先進国に通常兵器では追いつけません。よって未だ誰も手にしていない核技術を入手し、然る後に量産体勢に入り、ラスト5ターンに賭けます」
文部 「日本より発展した国は地上から消えればいいのです」
軍部 「首位争いほど醜いものはないな」
諜報 「……そいつはまたとんだ賭けだな」
外交 「日本が勝てる道はこれだけですから」
日本の思い描いたシナリオに、世界はどう応えるのだろうか?
第六回へ
前回分から読んでください。
以下リンク
第四回 ~亡きモンゴルに捧げるセクステット~
第三回 ~帝国の逆襲~
第二回 ~眠れる獅子と興国の一戦~
第一回 ~国名「エリア11」~
三日目。
タイトルの”Merchant Of Death”とは「死の商人」という意味。
日本の兵器外交とも言える各国への戦闘部隊の提供は周知の事実となっていた。
なおシュメールのプレイヤーが急遽参加できないということで以降、シュメールはAIとなる。
これにより東方諸国は分裂。自然とアラブVS世界という構図が成立しつつあった。
シュメールが都合によりAI化してゲームが再開される。
これにより長期化すると思われた冷戦関係は、あっけなく終わりを告げることになる。
単独でこの乱世を生き抜かねばならなくなった東側諸国は軍備を競うように拡張し、一触即発の事態となっていた。
これよりバビロン、ポルトガル、アラビア、シュメールの四国の局地戦争へとその容貌を変えていくことになる。
さてさて、そんな物騒な東部とは対極的な位置に存在する日本はというと……。
見ての通りの全国を挙げてのルネサンス時代を迎えていた。
最早戦争など過去の遺物。
通常なら戦後、増えすぎた軍が経済を圧迫し深刻なインフレなどを引き起こすのだが、今回はその軍を外交カードとして切ってあるのでそれらの打撃は存在しないのである。
軍部 「全ての攻撃軍を譲渡するなど正気の沙汰ではない!」
諜報 「まだモンゴル政権の感情を引きずってる都市を半分抱えている中、無駄な金食い虫をおく必要はない」
軍部 「な、何だと!?」
外交 「まぁまぁ、おかげでポルトガルとは強固な同盟を結ぶことができました。かの国は向こう百年は攻めてこないでしょう」
文部 「『兵を養うのは戦争のためではなく百年の平和を手にするため』という言葉があるくらいだからな。まさに本望だろう」
軍部 「ふざけるな! もしどこかの国に攻められたらどう対処するんだ!?」
外交 「今のところ我が国に対して戦争を行おうという国は存在しません」
諜報 「だ、そうだ。まぁ、どのみちモンゴル戦で我が国は軍事力・経済力共に破綻している。攻められれば条件付降伏を模索するしかあるまい」
文部 「それに侍は既に時代遅れ。世界の主力はライフル兵です。賞味期限の切れた軍を上手く処分できたことを喜ぶべきでしょう」
諜報 「まさに一石二鳥だな」
軍部 「お前ら軍をなんだと思ってるんだ……」
外交 「使い捨ての外交の道具でしょ」
というわけで、身軽になった経済は全てテクノロジーの発展につぎ込み、各都市では文化・商業・研究施設が急ピッチで建造されるようになる。
文明開化。
実際の史実で江戸時代が終わりを告げるのと同様に、日本もまた古き体制からの脱皮を行っていた。
その間軍事活動の全てを放棄し、諜報機関は限られた資金を遣り繰りしてアラビアに陰湿な嫌がらせを行っていた(主に各資源施設の破壊工作)。
アラビアは国力でこそ第三位であったが、その文明レベルはトップレベルであった。
研究は華々しく進み、軍も次々と最新鋭の組織へと変化していっていた。
ポルトガルとバビロンが裏でこそこそと対アラビア戦の準備を進めていることはわかっていた。それもアラビア軍が近代化する前に叩こうとしていることも。
それほどまでにアラビアの成長は著しかった。
増加の一途を辿る軍事力。
この静かな軍拡競争はシュメールのアラビア強襲を境に一気に表面化することになる。
シュメールがアラビアに宣戦布告しました。
さすがAI。
空気読めてない。
もしここでアラビアがシュメールに屈して滅亡することになれば、東国情勢は一気に変わる。対AI戦争となればバビロン・ポルトガル連合軍の勝利は約束されたも同じである。
バビロン・ポルトガル両国はこの醜い戦争をさぞかしにやにやしながら眺めていたであろう。
戦争がある程度始まってからバビロン側から通達が来る
バビロン 「アラビアが弱体化したところを見計らってポルトガル軍と共にアラビアを攻めます」
日本 「なるほど。我が国は力になれそうにありませんが頑張ってください」
バビロン 「笑。長引くと思うので、何かしらの支援期待してます」
今の笑いは見下した笑いだろうか?
そんな卑屈なことを考えたりもしたが、バビロンは今や世界第一の国家。ブービーの国力である日本の援助など端からあてにしてはいないのだろう。
つまり、またバビロンはこう言ってきたのである。
外交 「『アラビアと戦争するが変な気は起こすなよ?』とね」
軍部 「舐められてる。我が国を完全に見下した外交だ」
文部 「まぁ落ち着いてください。これは礼儀的なものです。同盟国に自国が戦争することを告げることは常識ですよ」
諜報 「それは表向きの理由だな」
外交 「外交は二面性が基本です。文部の言うのは表だっての意味で、裏の意味は私が言ったとおりでしょう」
軍部 「だが、本当に援軍をあてにしていたらどうなる?」
外交 「その場合は厄介なことになります。やっと先進国なみの技術を入手したのに、それを停滞させなければならない事態となります」
文部 「今我が国に軍備へ回す余裕はありませんよ?」
軍部 「だそうだ。我が軍は保有する兵力の全てが都市防衛のための部隊で構成されている。しかも大半は長弓兵で、一部に至っては弓兵だ。とても援軍としてあてにされる兵力ではない。諜報的にはどうなんだ? 抜け目無い貴公のことだ。アラビアにスパイを送り込んであるんだろ?」
諜報 「……ま、予算が限られすぎてて大したことはできてないけどね」
軍部 「予算があるだけまだマシだろう。ウチなんかここ30ターン予算を振られてないんだぞ」
諜報 「はぐらかしても仕方ないからはっきり言うけど、アラビア軍は我々が想定しているより遥かにタフだぞ」
文部 「強力なのか?」
外交 「バビロンから要請されて諜報機関を通じてアラビア・シュメール戦争を監視していたのですが、アラビア軍は殆ど兵力を失うことなくシュメール軍を退けました」
軍部 「なんと」
諜報 「おまけにアラビアは内燃機関の研究に着手するほどの技術レベルに来ている。カノン砲の製造も本格化していて、あの国は文字通りの軍事大国となっている」
外交 「正規のルートでポルトガル軍を視察した限りでは、ポルトガル軍の主力は胸甲騎兵や鎚鉾兵。最新鋭の軍として擲弾兵が少数確認できました。もちろん我が国が贈呈した元日本軍の兵士たちも従軍しております」
軍部 「無論だ。アラビアごときに敗れる侍ではないわ」
諜報 「身内びいきはその辺にしておけ。残念ながら外交・諜報の両機関の出した答えは同じだ」
外交 「ポルトガルの敗北」
軍部 「ポルトガルが敗北し、我が国と隣接する事態になれば大変なことになるぞ」
外交 「その通り。我が国は平和路線を突き進んできた。それもあらゆる武力を放棄して。今ここでポルトガルが消え、破壊工作を行ってきた軍事大国アラビアが隣接するのは極めてまずいのです」
文部 「どうするつもり? 大砲製造は優先的にとるよう進めて来たけど、最大の支援となる機関銃兵の製造はまだ先ですよ?」
外交 「幸い、バビロンもアラビアと肩を並べる軍事大国に成長してくれています。おそらくアラビアに対して互角かそれ以上の戦いを見せてくれるでしょう。また、早期決戦となればポルトガルにも勝算があります」
諜報 「実際、我が国に出来ることは少ない。アラビアも簡単に滅んでもらっては困るし、また勝ち続けられても困る。我が国はこの次に起こる戦争は、できるだけ長引かせられるように試みることにしようじゃないか」
また、懸案事項として、アステカが日本と隣接する都市に駐留するマスケット兵を増強させているというものがあった。
とはいえ、守備兵力なので、おそらくまだ日本の領土野心を疑っているのだろう。日本に他国を侵略する力などないというのに。
シュメール軍敗北からわずか2ターン。
ポルトガルがアラビアに宣戦布告しました。
バビロンがアラビアに宣戦布告しました。
バビロン・ポルトガルはアラビアに対して宣戦布告を行う。
戦争遂行能力を保有する四国が戦争状態に突入したことになるので、一応、第二次世界大戦と言っても過言ではないだろう。ちなみに日本、アステカには戦争遂行能力はなかった。
電撃的に都市を一つ落としたバビロンとは対象的に、ポルトガル軍は慎重な侵攻を行っていた。
アラビア軍は技術的に劣るポルトガル軍を無視。
即座にシュメールと停戦し、ほぼ全軍をバビロンに差し向けたのである。
上記SSが各国軍の動き。
アラビア軍の兵力はバビロン軍の想定を超えるものだった。
過去、様々な地域で多くの戦争があったが、このバビロン軍とアラビア軍が激突した戦場は世界史上最大の激戦区となったようだ。
アラビアは奪われた一都市を奪還すべく大量のライフル兵にカノン砲からなる攻撃軍を派遣。対するバビロン軍は騎兵隊で応戦したものと思われる。
一進一退の壮絶な激戦を繰り返した後に、外交チャンネルが開かれる。
バビロン 「ライフル兵が多数来て、激戦となった。抵抗が激しすぎる。なんでもいいから支援求む」
日本 「カノン砲を提供しましょう」
バビロン 「カノン砲最高w」
どうやら次の都市へと侵攻するどころか、奪った一都市を守るのだけでいっぱいいっぱいのようだ。一方、相手にされてないということを知らないポルトガル軍は、捨て駒的に置かれた旧式軍隊が守る都市の攻略に手間取っていた。
日本はモンゴル戦争でポルトガル軍の実力を疑った経験があったが、これを見ていてそれが核心へと変わった。
ポルトガル軍は戦争下手すぎるのだ。
統率のとれてないカタパルト軍団。個別に攻撃を繰り返し、次のターンで相手が回復してからまた別のカタパルト軍団が攻撃を開始する。
これが一国の軍隊の行動だろうか。
まるで足並みの揃わない連合軍の波状攻撃を見ているようである。
切り捨てられたアラビアの都市は時間を稼ぐという目的を十二分に達成し、アラビア軍は防衛体制を固めることに成功していた。
とはいえ、馬鹿みたいにいる大量の兵士たちはアラビアの次の都市を落とすくらいは余裕でやってのけそうだった。
ここでアラビアが滅ぶと世界が一気に平和になり、バビロンの勝利が確定してしまう。
それでは面白くないので、アラビアにはもうちょっと頑張ってもらおうと思う。
というわけで、勝利を喜んでいるポルトガルとの外交チャンネルを開く。
日本 「こんばんは。戦争拝見させてもらいました。都市攻略おめでとうございます」
ポルトガル 「ありがとうございます」
日本 「しかし、プラガ攻略に手間取りましたね」
ポルトガル 「兵力を温存して戦ったのが裏目に出てしまいました。まぁ、おかげでまだまだ戦えますよ」
日本 「しかし、アラビア軍は守備を固めており、貴国の軍ではおそらく勝てないでしょう」
ポルトガル 「……そんなにやばいですかね?」
日本 「ライフル兵やカノン砲が大量に配備されてます(大嘘)」
ポルトガル 「う、うーん。でも、こちらも擲弾兵がいるのでなんとかなるかと」
日本 「少数の擲弾兵では勝てませんよ? それより、攻撃軍が敗北して逆襲されればまずいのでは?」
ポルトガル 「……」
日本 「バビロン軍は苦戦を強いられており、撤退は時間の問題です。もし、撤退後、停戦されれば、アラビア軍の反撃の矛先は貴国に向けられますよ?(バビロンが苦戦してるのはポルトガルに兵が裂かれてないからだけどね)」
ポルトガル 「それはまずいな」
日本 「でしょ? ですから、バビロンより先に和睦すべきです」
ポルトガル 「分かりました。検討してみましょう」
程なくして、ポルトガルはアラビアとの停戦に入った。
ポルトガルにはああ言ったが、アラビア軍はバビロン軍との戦争でいっぱいいっぱいであり、ポルトガルが戦争を継続していれば勝算は十分あったと言える。
例え旧式だとしても、ポルトガル軍には経験豊富な軍隊が大量に揃っており、片っ端から突撃を敢行する度胸さえあれば勝てたのだ。
だが、それをさせないようにするのが外交である。
こうも素直に信じてくれると面白いものだ。
背後が安泰となったアラビア軍はバビロン軍を第二次攻撃で撃破。
都市奪還に成功し、自国領から他国を排除。
更に逆襲が始まり、アラビア軍はバビロン領内へと侵攻を開始した。
第三国日本は謀略をめぐらせていた。
この戦争でバビロン、アラビアが消耗すれば自国が上位ランキングへと浮上できると思われる。
実際アラビアは日本よりも国力が低下していた。
ここはアラビアに頑張ってもらい、バビロンが消耗されれば自分の手を汚さずに状況を有利なものへと変えられる。
日本はここで始めてアラビアに接触を試みたのだった。
日本 「どもー。大変なことになってますね」
アラビア 「……まぁな」
日本 「貴国の気持ちはお察ししますよ」
アラビア 「それはどうも。ところで、貴国は随分と侍を輸出しているようですね」
日本 「ええ。旧式の軍隊を処分するついでに安全を保障してもらってます」
アラビア 「上手いやり方だw」
日本 「立地条件上、貴国には戦力支援できませんが情報くらいは流せます」
アラビア 「ほう」
日本 「バビロンは戦力を首都近郊まで後退させ、反撃の糸口を探ってます」
アラビア 「罠ですかね?」
日本 「でしょうね。ここは一度停戦して、軍備を立て直して出直すというのはいかがですか?」
アラビア 「考えておこう」
日本はバビロンにすでにいくつかのカノン砲を献上している。
ここでアラビアが調子に乗ると敗北する可能性がある。すでに戦いは泥沼化しており見ていて面白いが、ここは一度停戦させるのが利口だろう。
諜報 「何故傍観を決め込まない? 下手に首をつっこむと火傷するぞ?」
外交 「ちょっとした考えがあるんですよ。ね?」
軍部 「間に合うかはわからないけどな」
文部 「全く、宇宙船製造が間に合わないとはいえこんなことになるなんて……」
諜報 「何だ何だ。今回は私だけのけ者か? 一体何を企んでいるんだ?」
軍部 「我が国は核兵器に手を出す」
諜報 「……冗談だろ? 歩兵とか通常兵力の近代化が終わってないんだぞ」
外交 「我が国は通常兵器は捨て、核に望みを託します。最早、先進国に通常兵器では追いつけません。よって未だ誰も手にしていない核技術を入手し、然る後に量産体勢に入り、ラスト5ターンに賭けます」
文部 「日本より発展した国は地上から消えればいいのです」
軍部 「首位争いほど醜いものはないな」
諜報 「……そいつはまたとんだ賭けだな」
外交 「日本が勝てる道はこれだけですから」
日本の思い描いたシナリオに、世界はどう応えるのだろうか?
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